OECC会報

「アジア地域中小水産加工業の公害対策に関する指導者養成セミナー」について

(社)海外環境協カセンター技術部長 岡本恂

1.はじめに

アジア地域諸国は目ざましい経済発展を遂げているが、これに伴う産業公害も顕著になっている。中でもこれらの国々の中小企業は資金カ、技術力に乏しいことから対策の遅れが指摘されているところである。このような状況を踏まえて、当センターは環境事業団の地球環境基金の助成を得て、平成7年度から3ヵ年にわたり、アジア地域の中小企業の産業公害対策を推進させるべく、アジア地域各国の産業公害対策に携わる実務者を招聘し、セミナーを実施してきた。セミナーの開催に当たってはアジア地域で幅広く中小企業の振興活動を実施している、シンガポールのNGO「テクノネットアジア」をパートナーとし、そのネットワークを活用して参加者選定等を行った。今年度は、標題の水産加工業に着目し、タイ・バンコックにおいてアジア地域の1Oヵ国から実務者を招聘してセミナーを開催したので、その概要を紹介する。

2.セミナーの概要

  1. 開催日時:平成9年10月28日~30日
  2. 場所:タイ・バンコック、アンバサダーホテル
  3. 主催:テクノネットアジア、タイ工業省工業振興部、タイ工業連盟、(社)海外環境協力センター
  4. 参加国(人数):バングラデシュ(2)、インドネシア(2)、韓国(1)、ベトナム(2)、マレーシア(2)、ネパール(2)、フィリピン(2)、シンガポール(1)、スリランカ(2)、タイ(4)、合計20人

第1日目(平成9年10月28日)

  1. 開会挨拶:タイ工業連盟副総裁Mr.Teerajit、タイ工業振興部次長Mr.Manu Leopairote、テクノネットアジア企画部長Dr.Faruque、(社)海外環境協カセンター技術部長 岡本恂
  2. 最近の環境問題と食品工業;国連環境計画(UNEP)Mr.MarkRadka
  3. 各国の水産食品加工業の概況と環境への影響;タイ水産庁Dr.Poosup Virulhakul 他
  4. 環境管理システムと食品工業の適用;SGS、Mr.Paul Clements

第2日目(平成9年10月29日)

  1. 日本の水産加工業の公害対策に関する技術マニュアルの紹介;(株)日水コン劉軍
  2. 水産加工の環境アセスメント技術;タイエ業連盟Dr.Wunwiboon Garajanagooonchom

第3日目(平成9年10月30日)

  1. タイ水産食品工場(SURAPON FOOD LIMITED)の調査と改善点の抽出作業
  2. 閉会挨拶:テクノネットアジア企画部長Dr.Faruque
  3. 終了証書の授与:(社)海外環境協カセンター技術部長 岡本恂

3.まとめ

工業化の進展度合い、社会体制の異なる10ヵ国の公害対策関係者が一同に会し、質疑、意見交換が行われ各国の状況と課題が浮き彫りにされ、相互理解が深められた。(1)各国参加者は、30~40歳代の実務者クラスが多く、環境省関連より工業省関係者が多かった。従って、公害規制値のあり方等よりも、製造コストに占める公害対策コストの比率、品質保証に絡むISO14001の問題、クリーナープロダクションの手法等に関連する質疑が多かった。(2)タイ水産食品工場(SURAPON F00D LIMITED)の調査後実施した、小グループ分けした改善点の抽出作業は有益な試みだった。参加者から現場の改善に即、生かせるような提案はあまり出なかったが、クリーナープロダクションの必要性、意義は十分認識していることが分かった。

(おかもと じゅん)

OECC会報 1998.3(第24号)から

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