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活動について

大気汚染・黄砂対策

アジアにおける大気汚染および黄砂対策に関する国際協力

アジアでは経済発展を背景に、PM2.5などの浮遊粒子状物質や光化学オキシダントなどによる大気汚染が依然として多くの人の健康を蝕んでおり、国境を越え汚染と捉えた国際協力の推進が重要です。北東アジアでは、黄砂による砂塵嵐問題も含め、越境大気汚染への関心が高く、日中韓の3カ国間の大気汚染・黄砂に係る協力が、日中韓三カ国環境大臣会合の下で長年進められ、最近ではモンゴルもこの黄砂の協力に参画しています。OECCは、2009年より環境省の委託を受け、これら日中韓蒙の協力活動を支援しています。

低層大気汚染が深刻化する冬のモンゴル・ウランバートル。石炭燃焼により排出される大気汚染物質が盆地に滞留し、山は霞んで青空が見えない。

 

日中韓蒙による黄砂モニタリング・予測・発生源対策に関する共同研究の支援

OECCはこれまで、日中韓三カ国環境大臣会合の枠組下で実施されている黄砂共同研究の日本側事務局として北東アジア地域の研究者や専門家の活動を支援しています。本共同研究では、日中韓蒙の研究者により黄砂のモニタリング・早期警報システムおよび発生源対策に関する2つの作業部会が設けられて共同研究・研究交流等が行われています。OECCは、その活動を円滑に進めるために、毎年の作業部会の企画・運営、共同研究の5カ年計画の策定等を実施してきました。また、近年では、黄砂と気候変動との関連への関心の高まりや、北東アジア以外にも砂塵嵐が課題となっている地域もあることから、研究交流活動の一層の促進や国際的なアウトリーチ活動としてセミナーを2021年に開催するなど、活動のさらなる展開を提案し実施しています。

中国 内モンゴルでの日中韓共同調査の様子

 

大気汚染・黄砂対策に係る国際協力の展望

これまでの様々な国際協力と自助努力もあって、中国など北東アジアでの古典的な大気汚染の改善など大きな進展が見られます。一方、近年、アジア各地域で、気象の変化や農業廃棄物の焼却による広域大気汚染、大気汚染だけでなく気候変動の原因でもある短寿命気候汚染物質への対策が課題と認識されつつあります。また、気候変動対策が大気汚染対策にも利益をもたらすコベネフィット・アプローチや、半導体センサーやAIを活用した低コストの大気汚染モニタリングなど、新たな取組にも関心が高まっています。国際協力においても、東アジア酸性雨ネットワーク(EANET)が、酸性雨以外の大気汚染にも取り組むことを決め、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)の加盟国が、砂塵嵐含む大気汚染地域行動計画を2022年末に採択するなど、国際協力も新たな展開が見られるため、OECCでは今後の活動を模索していきます。

 

日中韓三カ国黄砂共同研究オンラインポータルの紹介

2021年に日中韓三カ国黄砂共同研究オンラインポータル「TEMM DSS Online Portal」がオープンしました。このオンラインポータルは、日中韓の黄砂モニタリング・早期警報システムの研究者の協力によって構築され、日中韓の黄砂共同研究内容や黄砂関連の研究論文など研究の成果が紹介されています。OECCは、オンラインポータルの整備を日本の貢献として提案しました。また、コンテンツ作成・更新に係る日中韓での合意形成を促進し、結果に基づいて、オンラインポータルの構築支援、維持、管理を行いました。

TEMM DSS Online Portal ウェブサイト