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活動について

化学物質・水銀対策

国内外における適正な化学物質管理の推進支援

近年、化学物質や化学製品の市場は、経済のグローバル化により急速に拡大しています。その一方で、その製造・使用による人の健康や環境への影響に対する懸念が高まり、各国における化学物質規制の強化と、国連を中心とした国際的な規制の推進・調和化が進められています。

OECCでは、化学物質管理に関する国連等の国際機関、欧州・米国等の諸外国の取組をふまえながら、国内外における適正な化学物質管理の推進を行っています。具体的には、国際的な化学物質対策についての国内関係者の理解と対処能力向上支援、アジア諸国における制度調和化・構築支援、国際的な取組との調和化にむけた国内政策検討支援を実施しています。

 

国内事業者の化学物質管理法制度への対処能力支援

環境省をはじめ、国内において化学物質対策に関わりのある関係省庁、化学企業等の様々な関係者が中心となり、2007年に「化学物質国際対応ネットワーク」が設立されました。このネットワークでは、国際的な化学物質対策についての国内関係者の理解と対応能力の向上、諸外国の関係者との相互理解の向上による国際調和に向けた取組の加速化を目的とした活動を進めています。

OECCでは、化学物質管理に関する国連等の国際機関、欧州・米国等の諸外国の取組をふまえながら、国内外における適正な化学物質管理の推進を行っています。具体的には、国際的な化学物質対策についての国内関係者の理解と対処能力向上支援、アジア諸国における制度調和化・構築支援、国際的な取組との調和化にむけた国内政策検討支援を実施しています。

化学物質国際対応ネットワーク(環境省ウェブサイト)

 

アジア諸国における制度調和化・構築支援

日本を含むアジア地域における化学物質管理制度の適正な運用は、人の健康や環境汚染を防止する上で重要となっています。また、化学物質の製造・輸入を行う事業者にとって、各国の化学物質管理政策の整合性が求められています。そのため、環境省では、日中韓3カ国における化学物質管理政策の連携・協力を図るための「日中韓化学物質管理政策対話」を毎年開催しています。

OECCでは、アジア地域(ベトナム、インドネシア)における化学物質管理制度構築を支援してきました。また、「日中韓化学物質管理政策対話」では、2010年より事務局を担当し、3カ国における化学物質管理政策についての情報・意見交換、共同研究を通じた化学物質管理政策の連携・協力の促進を支援しています。

日中韓の環境協力:化学物質管理政策対話(環境省ウェブサイト)

 

国際的な化学物質管理の取組との調和化にむけた国内政策検討支援

国連が推し進める国際的な化学物質管理推進の枠組みである「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(Strategic Approach to International Chemicals Management:SAICM)」について、OECCでは、国連における動向や諸外国での取組について調査及び国内対応の検討、SAICMセミナーの開催、開発途上国(ブータン)におけるSAICM対応を支援し、さらには、日本における「SAICM国内実施計画」の策定を支援しました。

OECCでは、今後の新たな枠組みである「ポストSAICM」においても、その動向調査に加え、日本政府や事業者への対応支援を推進していきます。

SAICM(環境省ウェブサイト)

 

メディアでの紹介事例

OECCの化学物質管理支援に関するこれまでの取組について、以下の雑誌記事等に掲載されています(一部のみ抜粋)。

・「海外環境協力センターにおける化学物質対策の取り組み」、月刊化学物質管理(株式会社情報機構)、2021年2月
https://www.johokiko.co.jp/chemmaga/BM160800_2102_index.php

・「海外環境協力センター・化学物質国際対応ネットワークにおける化学物質管理の取組」、月刊化学物質管理(株式会社情報機構)、2017年9月
https://www.johokiko.co.jp/chemmaga/BM160800_1709_index.php

・「第1回アジア地域化学物質対策能力向上促進講習(ベトナム) アジア地域における化学物質対策能力の向上を目指して」、クリーンアジア・イニシアティブ ニュースレター(環境省)、2012年3月
https://www.env.go.jp/earth/coop/coop/cai/pdf/newsletter_j_vol8_web.pdf

・「化学物質国際対応ネットワークとは」(特集 化学物質審査規制法改正をめぐる動き)、月刊誌「生活と環境」(一般財団法人日本環境衛生センター)、2009年9月

・「化学物質国際対応ネットワークについて -REACH対応をAll Japanで!」(特集 化学物質管理をめぐる国際動向)、OECC会報第52号、2007年12月
https://www.oecc.or.jp/bulletin/20170524/3373/

 

水俣条約~我が国の水銀対策への取組に関する情報発信

水銀は、公害問題の歴史を経て人体への有毒性が科学的にも明らかとなりました。その使用量は先進国を中心に減少傾向にある一方で、途上国では違法な金鉱山採掘等による水銀被害が未だ発生しています。2013年10月に水俣市で開催された外交会議において「水銀に関する水俣条約(Minamata Convention on Mercury)」が採択され、2017年8月に発効しました。この条約は、水銀及び水銀化合物の人為的排出から人の健康及び環境を保護することを目的とし、水銀の生産・使用・廃棄の各過程における総合的、かつ、適正な管理と排出の削減を定めるものです。

OECCでは、国連や環境省、自治体と協力をして、水銀対策への取組に関する情報発信や、パートナー国との技術協力、国内での普及啓発・環境教育・情報発信を積極的に実施しています。

 

水銀対策技術の普及支援

国連環境計画(UNEP)が実施する水俣条約実施推進プロジェクトの一環として、2022年度はパートナー国政府の水銀対策を担当する行政官等を対象としたワークショップ及び技術アドバイザリー会合が水俣市で開催されました。OECCは、UNEP、環境省、水俣市と連携し、それらの開催を支援しました。グループディスカッションで洗い出されたパートナー各国の現在のニーズ・課題は、よりパートナー各国の現況に即したプロジェクトとするための再調整やプロジェクト終了以降の持続可能な水銀対策を目指したパートナー国内での体制確立、水銀モニタリング・分析能力強化に向けた検討に活かされます。

ワークショップの様子

 

水銀に関する環境教育~世界と次世代へ~

水俣条約の下、水俣病と同様の健康被害や環境破壊を繰り返してはならないという決意と、水銀対策に取り組む意志を世界で共有するため 、環境省では、世界そして次世代の水俣条約への理解の促進と行動の強化に取り組んでおり、OECCはその支援を行っています。例えば、2022年度は、日本と世界の高校生が合同で水銀問題に対して意見交換を行うユースダイアログの開催や、水俣への修学旅行を含めた水銀問題への課題考察を授業に取り入れている日本の高校に対し、水俣条約の背景・意義等の説明の他、課題解決に関するワークショップを行うための教材作成支援を行いました。

水銀問題は環境だけでなく、SDGsに掲げられている貧困やジェンダーの問題にも密接に関わっています。現在、環境省が主導で行っている日本国内の水銀に係る次世代教育については、今後は国際的なユース団体が主催する会合での発表や議論の場への展開が望まれており、更なる行動へとつながる未来が期待されています。

 

ユースによる水銀の情報発信の例

OECCは、環境省事業の一環で、水俣市の中学生がレポーターとなり、高度なゴミ分別を実施している水俣市のクリーンセンターの取組とその意義や地域住民の意気込みについて情報を発信するビデオを制作しました。また、水俣市の高校生の自主研究活動においては、「水俣病を二度と繰り返さない」という思いを新たに、適切な水銀管理の重要性を若い世代へ伝えるメッセージスライドを制作しました。その過程で、同じく水銀問題を抱えるスロベニア・フィリピンの高校生との国際ダイアログに参加し、相互発表・意見交換を実施しました。OECC、これらのユース活動支援を通して、水銀に関して水俣市で「親から子へと伝えられる思い」の強さを痛感し、将来の環境改善へ向けた継続的な貢献の重要性を再認識しました。