2025.12.22

ジャパンパビリオンサイドイベント 「気候緩和のためのGOSATを用いたイノベーション」 開催支援

温室効果ガス観測衛星「GOSAT」

環境省・宇宙航空研究開発機構・国立環境研究所は、温室効果ガス(二酸化炭素やメタン等)を全球高精度観測が出来るGOSATシリーズ(Greenhouse gases Observing SATellite)を長年運用してきました。これまで、このGOSATシリーズは、全球のCO₂を長期に観測し、温暖化と二酸化炭素の比例関係や二酸化炭素そのものが全球において増加している事実を示してきました。

※さらに最新鋭のGlobal Observing SATellite for Greenhouse gases and Water cycle(いぶき GW / GOSAT-GW)が2025年6月に種子島宇宙センターから打ち上げられました。従来の温室効果ガスに加え、水循環(雲・降水・水蒸気)が観測できるようになり、空間解像度がより高くなったので、さらに排出ホットスポット検出能力が高まっています。

GOSAT-GW
GOSATシリーズの観測空間解像度の進化(GOSAT→GOSAT2→GOSAT-GW)

引用元:環境省https://www.env.go.jp/content/000326947.pdf?utm_source=chatgpt.com一部改変

支援の背景

OECCは、中央大学に対し、特定地域における排出量を算定する方法として、GOSATと気象領域モデルと現地観測を組み合わせる手法を初期提案しました。これをきっかけに、環境省・中央大学のGOSAT関連の業務を支援するようになりました。

科学の政策へのフィードバック

中央大学の優れた研究者が、実際にGOSATの二酸化炭素観測データと気象領域モデルおよび逆推定を組み合わせる手法を開発し、国家レベルの温室効果ガス排出量の推定を実現しました。その方法を用いて、モンゴルの温室効果ガスインベントリの検証を行うことによって国家の国連への温室効果ガス報告書であるBTR(Biennial Transparency Report)の作製に貢献しました。その成果は、査読付きの科学雑誌(Nature系)にも受理・公表されています。
https://www.nature.com/articles/s41598-023-42664-3

COP30でのイベント開催支援

今年度は、上記の科学の政策への貢献手法をモンゴル以外の国々にも水平展開するため、2025年11月14日、COP30ジャパン・パビリオンにて、日本国環境省、カザフスタン生態・天然資源省、モンゴル環境・気候変動省の主催により、GOSAT衛星を活用した気候変動緩和に関するサイドイベント「気候緩和のためのGOSATを用いたイノベーション」が開催され、OECCは、その開催支援を行いました。

GOSATサイドイベントの様子
ジャパンパビリオンGOSATセミナーの様子

このサイドイベントでは、特にGOSAT衛星を活用した温室効果ガス排出量推計の国際標準化と中央アジア・モンゴル地域におけるグリーン投資促進についても議論が行われました。

高解像度化したGOSATは、今後、炭素市場が成熟してきた暁には、大気陸面炭素循環の広域での定量化および炭素クレジットの検証の分野で大きな役割を担う可能性があるかもしれません。

Reference
Watanabe, M., Oba, A., Saito, Y. et al. Enhancing scientific transparency in national CO2 emissions reports via satellite-based a posteriori estimates. Sci Rep 13, 15427 (2023).
https://doi.org/10.1038/s41598-023-42664-3

サイドイベントの紹介パンフ抜粋(引用元:中央大学)
サイドイベントの紹介パンフ抜粋(引用元:中央大学)

関連リンク一覧

COP29におけるGOSATサイドイベント支援(OECC活動報告)

GOSATによるGHG排出量評価に関する国際会合支援(OECC活動報告)

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