OECCについて

理事長 挨拶

竹本 和彦

令和4年度に入り、早くも第1四半期が終わろうとしています。
新型コロナウイルスの感染拡大については、少しずつ安定化の方向に向かいつつあり、経済社会活動も徐々に落ち着きはじめています。これに伴い、海外の現地におけるプロジェクトを中心に展開しているOECCにおいても、人数を制限しながら海外出張を伴う業務も順次再開しつつあります。

一方、ロシアのウクライナ侵攻の影響を受け、国内外においてエネルギー、食糧等の安全保障確保の重要性が頻繁に議論されており、我々としても、避けては通れないものとなっています。こうした状況の中、気候変動問題に関しては、脱炭素社会に向けた取組が日々活発になってきています。先日発表されたIPCC第6次評価報告書(第3作業部会)においては、今後の対策を一層強化・加速するよう各国に強く訴えています。

国内政策においても先般、「脱炭素先行地域」として第1回目のグループが選定されるなど、地域・都市における脱炭素社会の形成に向け、著しい進展があります。また6月初めに政府において取りまとめられた「経済財政運営と改革の基本方針2022」(いわゆる「骨太の方針」)においても、「グリーン・トランスフォーメーション」(GX)推進について力強いメッセージが発信されたところです。さらに政府内において、脱炭素社会実現に向けて必要とされる公的資金を特別債券の発行により調達するとの方針が検討されています。

OECCは、こうした内外の情況を踏まえ開催した「第4回橋本道夫記念シンポジウム」において、内外の最前線で活躍中の有識者を交え、今後の気候変動対策とウクライナ危機を踏まえた対応などの集中議論を行う機会を設けました。
このシンポジウムでは、ウクライナ及び近隣諸国において日本が資金的・技術的支援を積極的に展開している状況が報告されました。またこの度のウクライナ危機に伴い気候変動対策が後退するのではないかと危惧される向きもありましたが、国際研究機関が実施した世界世論調査によると、決してそうした動きは共有されておらず、むしろ世界におけるカーボンニュートラルを視野に、燃料・資源のサプライチェーンの多様化や再生可能エネルギーの推進が加速する方向に向かっているとの見解が示されました。

また会場参加者からは、IPCCなど国際的には科学的知見の集約が進化しているにもかかわらず、企業や市民の行動になかなか結び付いていない現状を懸念するとの指摘が表明されましたが、登壇者からは、長期的にみると科学的知見が政策立案に確実に反映されてきていること、我が国と国際社会における認識に温度差があるとの指摘があり、今後はこうした現状を踏まえた対応に注力していく必要があることが示唆されました。なお本シンポジウムの概要については、「OECC会報」を通じて各方面にも共有していくことにしています。

OECCは、こうした議論の機会を重ね、国際社会が直面する諸課題に対し、海外環境開発協力に携わる立場から、どのように対応していくべきかについて引き続き検討を深めるとともに、こうした内外の動向をしっかりと捉え、的確に対応できるよう着実に体制を整え、国際社会に貢献していきたいと考えています。

一般社団法人 海外環境協力センター

理事長竹本 和彦