OECCについて

理事長 挨拶

竹本 和彦

新年おめでとうございます。
2023年の年頭に当たり、ご挨拶申し上げます。

近年、気候変動の影響による大規模な災害の発生が世界各地より相次いで報道され、国内外における気候変動問題への対応の緊急性が一層高まっています。
こうした中、昨年11月エジプトにおいて開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)においては、長年の懸念であった「損失と被害」に係る基金創設に合意した一方、今世紀半ばまでのカーボン中立の実現に向けては、各国における緩和策の野心向上が強く訴えられました。このため日本政府においては、脱炭素社会実現を目指し、国内対策の一層の充実・強化に加え、「二国間クレジット制度」(JCM)の対象拡大をはじめとする様々な国際的な取り組みの展開も急務となっています。OECCとしては、今後ともJCMの案件発掘や都市間連携、適応策の推進や代替フロン対策などを中心とした国際協力に引き続き貢献していく所存です。

また昨年12月、モントリオールにおいて開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、COP10(2010年、名古屋)で採択された「愛知目標」の後継目標としての「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が合意されました。今後日本政府においても、この枠組みの目標達成に向けた具体的な取り組みが展開されていくことになりますが、国際的にはこれまで実施してきた関連分野における各種国際協力事業を生物多様性保全の観点から再編成していくことも視野に入れることが必要と考えられます。OECCとしては、こうした生物多様性保全に関する国際的議論の高まりも踏まえ「自然を活用した解決策」(Nature-based Solution)を念頭に置いた取り組みに貢献出来るよう努めてまいります。

さらに昨年末には、海洋プラスチックごみに関する国際枠組みに向けた政府間交渉委員会(INC)の第一回会合が開催され、実質的な交渉が開始されたところです。OECCもこうした国際的議論の潮流に的確に対応していきたいと考えています。
こうした世界の動向をも踏まえ、今後OECCとしては、1)気候変動対策、2)環境管理及び 3)生物多様性保全を優先領域として位置付け、SDGsの達成に向けた取り組みへの貢献を視野に入れつつ、戦略的な活動を展開していく方針です。

また会場参加者からは、IPCCなど国際的には科学的知見の集約が進化しているにもかかわらず、企業や市民の行動になかなか結び付いていない現状を懸念するとの指摘が表明されましたが、登壇者からは、長期的にみると科学的知見が政策立案に確実に反映されてきていること、我が国と国際社会における認識に温度差があるとの指摘があり、今後はこうした現状を踏まえた対応に注力していく必要があることが示唆されました。なお本シンポジウムの概要については、「OECC会報」を通じて各方面にも共有していくことにしています。

本年日本は、G7議長国として上述した地球的課題への対応において世界をリードしていく立場にあります。OECCも脱炭素・持続可能な社会実現に向け海外環境開発協力分野における中核的組織として国際社会に貢献してまいりますので、皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げます。

一般社団法人 海外環境協力センター

理事長竹本 和彦