2026.01.16

OECC技術・交流会主催「COP30報告会」を開催しました

OECC技術・交流会では、ブラジル・ベレンで開催されたCOP30を受け、現地に参加した関係者による会員限定の報告会セミナーを開催しました。
本報告会では、環境省 地球環境局 気候変動国際交渉室長の平塚二朗氏よりCOP30全体の交渉状況と成果について、またOECC理事の加藤真および次長の二見昌好より、OECCとしての現地での活動や実務的な取組について報告が行われました。
本記事では、両講演の要点を整理し、COP30の位置づけと今後の示唆を紹介します。

環境省によるCOP30交渉報告
― パリ協定10年、制度設計から実行フェーズへ ―

環境省 地球環境局 気候変動国際交渉室の平塚室長からは、COP30を「2015年のパリ協定採択から10年」という大きな節目として捉え、国際交渉の到達点と現在の課題について説明がありました。

近年、世界各地で極端気象や災害が頻発しており、2024年には全球平均気温が一時的に産業革命前比1.5℃を超える水準に達しました。年ごとの変動はあるものの、長期的に気候変動が進行していることは明らかであり、各国の取組の重要性は一層高まっています。

平塚室長は、パリ協定の特徴として、すべての国が削減目標(NDC)を持ち、
- NDCの提出(5年ごと)
- 実施状況の報告(BTR:2年ごと)
- 世界全体での進捗評価(グローバル・ストックテイク)

参加者の様子

を繰り返すことで、各国が自主的に野心を高めていく「野心向上サイクル(ラチェットアップ)」を採用している点を説明しました。この10年間で、こうした制度・ルールは概ね整備され、現在は制度をいかに実行し、実効性を高めていくかが問われる段階に入っています。

一方で、COP30では交渉プロセスに関する課題も指摘されました。特に、適応分野のグローバル適応目標(GGA)に関する指標については、今後も補助機関(SB)での継続的な検討が必要とされており、実装に向けた議論は引き続き行われる予定です。

また、日本の立場として、2050年ネットゼロに向けた取組を継続していること、2035年・2040年の削減目標を含むNDCを提出していることが紹介されました。環境大臣ステートメントでは、1.5℃目標の達成に向け、すべての国が可能な限り高い野心を持つNDCを提出すること、パリ協定の枠組みを継続的に回していくこと、JCMを含む国際協力を通じて取組を具体化していくことの重要性が強調されました。

OECCによる現地活動報告

続いて、OECC理事の加藤真および次長の二見昌好から、COP30におけるOECCの現地活動について報告が行われました。
OECCは、UNFCCC認定NGOとして長年COPに参加しており、今回も日本代表団の一員として、パリ協定11条(能力構築)および12条(教育・普及啓発)に関連する議論に関与しました。また、Japan Pavilionにおけるサイドイベントや情報発信を通じて、日本の取組や技術を国際社会に共有する場づくりを支援しました。

COP30 Japan Pavillion特設サイト:https://www.copjapan.go.jp/cop30en/

現地参加が制限されており渡航が叶わなかった関係者も多い中、会場展示とオンライン発信を組み合わせた情報提供が行われ、こうした取組は日本の特徴として来場者から高い関心を集めました。

内容面では、近年重要性が高まる透明性(Transparency)をテーマに、排出量の測定・報告・検証(MRV)や企業の情報開示を巡る実務的な課題が共有されました。OECCでは、関係機関や研究機関と連携し、各国の取組を支えるための知見共有や実務的な支援に取り組んでいます。
さらに、大学等との連携による排出量推計手法やモデル分析、衛星データの活用など、科学的知見を政策やプロジェクトに結び付ける取組についても紹介され、今後の実装フェーズへの展開が期待される分野として言及されました。

OECC加藤理事発表
OECC二見次長発表

おわりに

COP30は、パリ協定の枠組みが整った現在、実行と検証をいかに進めるかが国際社会に問われる段階に入ったことを示す会合でした。OECCは今後も、国際交渉の動向を踏まえつつ、能力構築や透明性を中心とした分野で、政府・企業・研究機関をつなぐ実務的な支援を通じて、気候変動対策の実装に貢献していきます。

※本セミナーでは、上記内容に加え、交渉の背景や実務上の課題についても、会員限定で意見交換が行われました。

参加者の様子
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