2025.10.04

OECC技術・交流部会主催 海外環境調査ミッション(タイ・バンコク)3:参加者所感

OECC技術・広報部会では、若手職員の育成と会員間のネットワーク強化を目的に、毎年海外環境調査ミッションを実施しています。令和7年度は、アジアにおける気候変動対策の先進事例を学ぶため、タイ・バンコクを訪問しました。5月25日から31日の1週間にわたり、政府機関、国際機関、研究機関、都市行政、さらには現地の環境関連施設を訪れ、活発な意見交換と現場視察を行いました。

今回のミッションには、OECC会員企業や研究者、事務局職員を含む約12名が参加しました。各訪問先では、日本との具体的な連携可能性や、今後の国際協力のあり方について多角的に議論し、OECCとしての活動の裾野を広げる有意義な機会となりました。

本稿では参加者からの所感をご紹介します。

<概要スケジュール>

05/25(日)
  • 移動(日本→バンコク)
  • 団内打合せ・親睦会
05/26(月)
  • タイ天然資源環境省 気候変動環境局(MNRE・DCCE)訪問
  • 公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)バンコク地域センター訪問
05/27(火)
  • バンコク都庁(BMA)訪問
  • BMA庁舎内のPM2.5モニタリングセンター視察
  • BMAによるBenjakitti公園緑化事業視察
05/28(水)
  • ノーンケーム廃棄物処理施設視察
  • バーンクンティエンにおけるマングローブ再植林による海岸浸食対策視察
05/29(木)
  • UNEPアジア太平洋地域事務所訪問
  • JICAタイ事務所訪問
  • タイ温室効果ガス管理機構(TGO)訪問
05/30(金)
  • IDEA R&D Center訪問(アジア工科大学院内)
  • アユタヤ遺跡視察
05/31(土)
  • 移動(バンコク→日本)

 

本編のレポートはこちら

 

エイト日本技術開発 田辺 渚 様

バンコク調査ミッションでは、雨庭のような仕組みが洪水緩和やヒートアイランド対策に機能するグリーンインフラとして、都市に自然に根付いているように感じました。それが文化的背景によるものか、意図的な都市計画なのかは分かりませんが、その価値を改めて認識しました。さらに、UNEPやIGESでの意見交換を通じ、気候変動対策には国境を越えた協力が不可欠であり、その調整の難しさや現場の工夫も知ることができました。

こうした学びを今後の業務に活かし、日本の技術や経験が国際協力にどう貢献できるかを考えていきたいと思います。

エックス都市研究所 島 朋輝 様

今回の海外調査ミッションは私にとって初の海外出張でしたが、バンコク都の気候変動・大気汚染対策の取組や廃棄物管理、公園を核とした緑地化事業・マングローブ植林による沿岸保全の現場を一連の流れとして見聞きすることで、環境インフラと政策を一つのスキームとして捉える視点を学びました。また、UNEPやJICAタイ事務所の方々とも意見交換する機会をいただき、自身の業務を途上国の気候変動対策・脱炭素の取組にどう結びつけるかを考えるきっかけになりました。

今後機会があれば、チェンマイ等の地方都市にも足を運び、タイのことを自分なりに掘り下げてみたいと思います。

株式会社数理計画 恵土 英 様

本調査では普段接点のない分野も含め多岐にわたる分野で現場担当者に直接お話を伺うことができました。

分別回収の取組や自動車の低排出ゾーンなど、各種施策がスピーディに進行している活力を感じる一方、ビジネス連携の拡大やT-VER制度とJCMの連携など、既に中所得国であるタイならではの展開が印象的で、単純な一方通行の支援が成立しなくなる中で自分が何ができるか、改めて考えるきっかけともなりました。また共に参加された各社の皆様の海外協力にかける熱意にもおおいに刺激を受け、大変有意義な経験となりました。

八千代エンジニヤリング株式会社 池田 高博 様

今回の海外調査ミッションで、約10年ぶりにタイを訪れました。

現在は、発展を続け中進国となったタイですが、当時の記憶もあり被援助国としてのイメージも少しありました。しかし、本調査で様々な機関から話を伺うと、タイは既に充実した取組を実施していることを知り、今後は共通課題の解決を目指すパートナーであることを認識しました。特に、充実したモニタリング体制や小学校で環境分野の授業をしていることに驚きました。今後機会があれば、地方の取組についても学び、ニーズに合わせてビジネスができればと思います。

HORIBA (Thailand) Limited 坂井 哲也 様

本活動をとおして、タイでの環境問題、気候変動に関係するタイ国内の関連機関、企業を訪問することができ、大変有意義なものとなりました。

今回の活動で現地の皆様から頂いたご意見をもとに、排ガス計測設備を提供させていただく側として高品質でより良いサポートが提供できるよう対応してまいります。

あらためまして、OECCの活動と関係者の皆様に感謝申し上げます。

株式会社数理計画 仲田 伸也 様

今回の調査ミッションでは、都市間連携を含めたバンコク都の環境に対する先進的な取り組みや官民の気候変動対策の支援について協議したほか、地球温暖化による海面上昇、及びそれによってマングローブ林が後退している現状を間近で感じることができました。

は大気汚染が専門ですが、参加者それぞれが持っている知見を共有することができ、また、視察先との協議においても多くの知見を得ることができました。環境に関する課題は、各分野が密接に融合しており、会社の枠を超えたつながりが重要であることを改めて認識しました。

いであ株式会社 川合 裕己 様

本調査ミッションでは、国家・都市・現場・国際機関の各レベルで、タイの気候変動対策を多層的に学ぶことができました。

タイに寄せられる国際社会からの期待と現実との乖離を認めつつ、地に足のついた挑戦が迅速かつ熱意をもって、そして市民を巻き込んで進められていることに感銘を受けました。一方で、国境を越えた政策調整や現場のモチベーション維持などの課題も明確であり、日本の経験や技術をどう活かせるか、開発コンサルタントとして自身の役割を問い直す貴重な機会となりました。

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