2026.02.09

JPRSI 2025年度第4回セミナー
「気候変動に伴う損失と損害の対応のあり方 ~民間参画促進に向けて~」開催支援

 OECCは、2026年1月20日に東京都内にて開催されたJPRSI(環境インフラ海外展開プラットフォーム)2025年度第4回セミナーを、事務局として支援しました。
 当日は民間企業をはじめ、さまざまな分野からオンラインで参加者を迎えました。

 プログラム・発表資料はこちらのページからご覧いただけます。

JPRSIセミナーにおけるOECCの役割

 OECCはJPRSI事務局として、すべての活動に関する企画・運営を支援しています。今回のセミナーは「気候変動に伴う損失と損害の対応のあり方 ~民間参画促進に向けて~」をテーマに、オンラインで開催されました。国内のさまざまな団体や事業者に対し、損失と損害をめぐる国際的な議論や支援の枠組等に関する情報を周知することで理解と関心を高めるとともに、開発途上国における損失と損害対応への具体的な関わり方について考え、事業参画検討を促進する機会を提供しました。

 OECCは、プログラム企画、スケジュール調整、登壇者・参加者対応、当日の会場運営など多岐にわたる業務を推進しました。セミナー最後の質疑応答では、事務局の進行により充実した対話が促進されました。

 

損失と損害をめぐる国際的な議論と、企業による取組

 まず、環境省地球環境局総務課気候変動科学・適応室長によって開会挨拶が行われました。後発開発途上国や小島嶼国等において、気候変動に伴う損失と損害の回避・最小化・対処が喫緊の課題となっていると述べられました。日本政府は国際的な支援枠組の整備を進めており、これまで多くの自然災害を乗り越えてきた経験を海外へ展開することで、損失と損害への対応に世界的に貢献していく方針であること、また、日本企業の参画を推進したいと考えていることが説明されました。

 続いて、環境省地球環境局総務課気候変動科学・適応室 室長補佐によってパリ協定に基づく損失と損害対応の国際的な流れ・枠組、および日本政府によるこれまでの国際的な貢献について解説がありました。日本政府は、COP27において「日本政府の気候変動の悪影響に伴う損失及び損害(ロス&ダメージ)支援パッケージ」を公表しており、その一つとして、環境省は「アジア太平洋地域における官民連携による早期警戒システム(EWS)導入促進イニシアティブ」およびこれに基づく「EWS官民連携協議会」を立ち上げています。同協議会の取組として、ASEAN諸国を対象に日本企業が有する優れたEWS関連サービスの展開が進められていることが紹介されました。あわせて、環境省が各国と締結している環境協力の覚書(MOC)に基づく取組例として、フィリピンにおいてASEANに向けた「損失と損害」に関するプロジェクト提案を進めていることが紹介されました。
 

環境省による「損失と損害」対応の取組解説(発表資料より)

 

 民間シンクタンクからは、損失と損害に関する国際的な3つの柱である、「ワルシャワ国際メカニズム(WIM)」「サンティアゴ・ネットワーク(SN)」「ロス&ダメージに対応するための基金(FRLD)」について詳細な解説がありました。気候変動が企業経営に及ぼす影響への対応がいま求められていますが、損失と損害へ解決策を提供することは事業機会の獲得にもつながります。途上国にニーズが存在することを把握し、自社サービスのビジネス化の可能性を精査すること、そのうえで途上国の支援要請とのマッチングを通じて事業を形成し、さらには取組を対外発信することでナレッジ共有に貢献できることが述べられました。

 次に、損失と損害に関係する事業を展開している民間企業から取組の紹介がありました。
 具体的には次の通りです。

  •  ・損失と損害対応における保険業界の取組
  •  ・損失と損害の対応に資する民間ビジネス事例 ~災害リスクレポート/災害緊急撮影~
  •  ・気候変動による損害と損失リスクをチャンスに転換するためにできること

セミナーで得られた成果

 最後の質疑応答では、各企業の取組や業界の状況について、活発な議論が行われました。なかでも日本企業が途上国で事業展開する際の注意点として、現地のデータ不足や災害傾向の変化に対応するために新技術導入や研究投資を進めること、現地の人材教育を併せて実施すること、相手国の法規制を把握することなどが重要であるとの指摘がありました。

 「損失と損害」は比較的新しい概念であり、日本企業の貢献の場も手探りの部分が多いと言えますが、企業がそれぞれの立場で工夫を重ねながら先行事例を開拓している姿を、本セミナーで示すことができました。
参加者からは「損失と損害の概念を知らなかったため、大変勉強になった」「具体的なビジネス事例を聞くことができた」「気候変動は、あらゆる角度から地球市民として考えるべき課題だと痛感した」などの声が寄せられました。

 OECCにとってJPRSIセミナーの開催支援は、海外環境開発のさらなる展開に向けた、重要な業務です。今後も関係機関と連携しながら、持続可能な未来のために力を尽くしていきます。

JPRSIの活動

JPRSIのウェブサイトでは、環境インフラ海外展開に関するさまざまな情報を提供しています。本セミナー活動記事も併せてご覧ください。

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