2026.04.01

フィリピンにおけるe-wasteの適正管理支援

 e-waste(電気電子機器廃棄物)は、コンピューターや電気製品の普及により世界で最も急速に増加している廃棄物の一つと言われています。しかし、多くの途上国では、e-wasteの適正処理の体制が整っておらず、環境汚染の原因となるリスクを抱えています。OECCは2025年度より、環境省事業の下、株式会社エックス都市研究所と共同で、フィリピンにおけるe-wasteの適正処理を推進するための支援を実施しています。本記事では、e-wasteの問題点と、フィリピンの取組に対するOECCの活動を紹介します。

e-wasteのリスクと潜在価値

フィリピンのインフォーマルセクターの街並み

 フィリピンを含むASEAN等の新興国では、経済発展、人口増加、都市化を背景に、e-wasteの処理が重要な課題として認識されるようになってきています。
 これらの国では、多くのe-wasteがインフォーマルセクターによって不適正に収集・解体されており、その過程で鉛や水銀等の有害物質が漏洩し、環境や健康に被害が及ぶことが懸念されています。また、e-wasteとして廃棄されるエアコンや冷蔵庫には強力な温室効果ガスであるフロン(HFC等)が含まれていますが、適正に処理されず大気中に放出された場合は、気候変動の原因となります。さらに、リサイクルが不十分な状態で大型家電等が埋立処分されると、埋立処分場の容量が圧迫されるおそれがあります。
 一方、e-wasteは都市鉱山とも呼ばれており、家電であれば鉄・銅・アルミニウム等のベースメタルが、携帯電話やパソコンの電子基板であればレアメタルが含まれています。これらを適切にリサイクルすることで、金属の資源循環を実現することができます。また、e-wasteに含まれるプラスチックもリサイクルの対象となります。
 このように、e-wasteの処理においては、有害物質やフロンを適切に処理し、金属やプラスチックはリサイクルに回し、どうしても残る残渣を最終処分することが、持続可能な循環型社会を形成するうえで重要です。この点、日本では、2001年に家電リサイクル法、2013年に小型家電リサイクル法が施行され、e-wasteの適正管理に関する経験が蓄積されてきました。この知見を活かし、諸外国への支援も実施してきました。

OECCによるフィリピンでの活動

 フィリピンでは現在、拡大生産者責任(EPR:Extended Producer Responsibility)の考え方に基づいた制度導入を含め、e-waste管理を適正化するための法制度の整備が進められています。
 OECCは、2025年度以降、日本国環境省・フィリピン環境天然資源省との間の協力事業に参画し、両政府、両国の民間企業、国際機関、廃棄物の専門家など様々な関係者との調整を行いながら、日本の家電リサイクル法等の知見・経験やこれまでの海外支援事業の実績を活かして、法制度の整備を支援してきました。

 2026年2月には、初年度の協力事業の集大成として、訪日研修を実施しました。参加者は、フィリピン政府から6名、フィリピンの民間企業から6名で、環境省や一般財団法人家電製品協会による講義や、リサイクル工場の見学を実施しました。最終日には全員でグループワークを行い、日本で学んだことを今後フィリピンでどのように活かしていくか、参加者それぞれの立場から熱い議論が交わされました。参加者からは、「日本が何十年も時間をかけて、高度なリサイクルの仕組みを作り上げたことがよくわかった」、「政府と民間企業が何日も共に過ごすことはフィリピン国内でも少ないので、同じ目標に向かってお互いを理解し合う良い機会になった」といった声が聞かれました。

訪日研修の様子その1

 2026年度は、フィリピンでe-wasteリサイクルのパイロットプロジェクトを実施することになっています。これは、OECCの調整の下、日本の専門家やフィリピンの民間企業が協力し、e-wasteの適正な収集・運搬・リサイクル・最終処分を小規模で試行して、実効性や課題を検証するものです。最終的には、回収した金属を日本に輸出して製錬することも視野に入れています。

訪日研修の様子その2

今後に向けて

 e-waste管理は比較的新しい分野ですが、環境と人々の健康を守るために欠かせない取組であると同時に、資源循環ビジネスとして今後発展が見込まれる領域でもあります。OECCは、廃棄物処理を含む様々なフィールドで積み重ねてきた経験・知見を活かし、日本と諸外国の協力の後押しをしていきます。

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